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 AWATA COLLECTION at Gallery L 婁正綱 無題 2024

2024年4月、東京・広尾の閑静な住宅地に、粟田貴也氏の婁正綱コレクションに特化した「AWATA COLLECTION」を展示するプライベート・ギャラリーとして開設された Gallery L は、書からアクリル絵画に及ぶ婁正綱の画業の全貌と「今」に触れることのできる世界で唯一の場所となります。

2023年にアーティゾン美術館の展覧会「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」で展示された約2m×8mにも及ぶ《Untitled 2022》のような大作をコレクションし、作品を展示する場所に思いを巡らせる粟田氏に芽生えた、「婁正綱作品から受けとめる芸術の力を、独り占めするのではなく愛好家と共有したい」という思いは、婁正綱のマネジメント会社 LZG Studio の協力を得て急展開で進行し、ここに「Gallery L」として形になりました。

粟田貴也 Takaya Awata 写真
粟田貴也 Takaya Awata
実業家。丸亀製麺などを運営する株式会社トリドールホールディングス創業者、代表取締役社長 兼 CEO。1961年、兵庫県神戸市生まれ。兵庫県立加古川東高等学校卒業、神戸市外国語大学中退。学生時代のアルバイト経験を通じて飲食で人々に感動を与える仕事に憧れを持ち、85年、兵庫県加古川市に「トリドール 3番館」を創業。90年トリドールコーポレーションを設立、95年に株式会社化する。2006年東京証券取引所マザーズに上場、08年東京証券取引所第1部に上場。16年株式会社トリドールホールディングスへ商号変更。「日本発のグローバルフードカンパニー」を目指し、世界約30の国と地域に1700店舗以上の多種多様なブランドを積極的に展開。

あるときは勇気をもらい、あるときは慰められる。
アートは私に、そこはかとない力を与えてくれます。

アートコレクターの粟田貴也氏は、企業経営者として歩む道筋の折に触れ、芸術作品から「力」を受け取ってきたと語ります。書画家・婁正綱とのセレンディピティとも呼べる2022年の邂逅から、時を経ることなく訪れることとなった伊豆のアトリエで、作家と共に過ごし、語らい、作品と、作品の生まれる環境に存分に浸った豊かな時間は、粟田氏が婁正綱のコレクターとなる運命を決定するものとなりました。

中国北部、ロシアと国境を接する黒竜江省(こくりゅこうしょう)※出身の婁正綱は、3歳から書画を学び、12歳で中国政府から「智力超常児童」として英才教育を受けて70年代~80年代にかけて中国書画界の奇跡と言われました。20歳で来日し、27歳のときに渡米するなど、中国、日本、米国を拠点に国際芸術の舞台で活躍してきました。

近年は伊豆にアトリエを構え、カンヴァスを支持体にアクリル絵具による抽象絵画「Untitled」シリーズを発表するなど、書や絵画の枠を超えた独自の新しい絵画芸術の世界を展開し、美術史においても、またアート市場においても、注目が高まるアーティストです。様々なアーティスト達との交流を持ちながらも、固有の美術団体や運動に取り込まれることは一度もなく、常に孤高の書画家として絶え間ない自己鍛錬のもとに芸術世界に邁進してきた婁正綱ですが、その作品に触れることのできる機会やスペースはこれまで限られたものでした。

※黒竜江省(こくりゅこうしょう)について
婁正綱が生まれ育ったのは、中国の北部、ロシア国境に近い黒竜江省に位置する小恒山煤礦(シオハネサンマイコン)。冬になると零下30~40度にも冷え込み、見上げるばかりの積雪に見舞われる炭鉱の町である。画家は幼少期の記憶として「一年を通して、白と墨色の印象しか心に残っていない」土地であったと語っている。
(アーティゾン美術館 学芸員/教育普及部長 新畑泰秀氏 寄稿文 より)
作品写真1
作品上が、2023年にアーティゾン美術館の展覧会「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」で展示された約2m×8mにも及ぶ作品《Untitled 2022》。このような大作をどこに展示するか思いを巡らせるうちに、「婁正綱作品から受けとめる芸術の力を、独り占めするのではなく愛好家と共有したい」と考えるようになり、「Gallery L」をオープンすることとなった。 作品左が、2023年にアーティゾン美術館の展覧会「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」で展示された約2m×8mにも及ぶ作品《Untitled 2022》。このような大作をどこに展示するか思いを巡らせるうちに、「婁正綱作品から受けとめる芸術の力を、独り占めするのではなく愛好家と共有したい」と考えるようになり、「Gallery L」をオープンすることとなった。

婁正綱作品を鑑賞することを目的にリノベーションが施された邸宅ギャラリーは、テクスチャーのある吹付仕上げの大きな壁に自然光が差し込む、開放感のある空間。床のコンクリートを無限の紙に見立てて、ただ一心に筆を運んだ、幼き日の婁正綱の姿を象った中庭の彫刻は、婁正綱の著書「こころ」でエピソードに触れ、心を動かされたという粟田氏のアイデアから生まれたものです。

「美術館と家とでは、作品の見え方が違います。
ある日は伊豆のアトリエから望む大海原のような雄大さを感じる作品が、
別の日には黒竜江省の吹雪の夜を描いているように感じられるのです」
(粟田貴也)

作品写真2

美術館ではなく、コマーシャルギャラリーでもなく、訪問した親しい友人の家で靴を脱ぎ、リラックスした親密な空間の中で、本物の芸術作品に触れる―――。Gallery Lは、婁正綱の芸術に惹かれる多くの美術愛好家に、そんな時間を共有致します。